LINGUA MANIA ブログ

英語とタイ語の「見る」「見える」

2021.06.14

英語とタイ語の「見る」「見える」

 

 

英語の動詞 lookを、はじめて学習する場合には、その意味は「〜を見る」と習う場合が多いでしょう。

 

Look at that dog.

あの犬を見て。

 

ところがしばらくすると、次のような英文に遭遇します。

 

She looks tired.

彼女は疲れているように見える。

 

多くの人が、何も不思議に思わずに、この2つの英文を受け入れているように思えます。

 

しかしながら、よく考えると、この lookには、かなり面白い性質が見えてきます。

 

She looks 〜

 

このように英文を書き始めるとき、この段階では、「彼女が何かを見る」のか、「彼女は誰かに〜だと見られている」のかは不明です。

 

She looks at 〜

 

looks の後ろにatを付け加えた瞬間に、主語である彼女が「何かを見る」ことが確定します。

 

She looks tired.

 

一方、looksの後ろに「形容詞」を添えると、「彼女は、誰かに見られていて、状態を外部から判断されている」表現になります。

 

タイ語の動詞 duu(見る、見える)も同様な性質を帯びています。

 

 

duu naag (ドゥーナンg)

映画を観る

 

duu mo:h ho:h(ドゥーモーホー)

怒ってるように見える

 

英語とタイ語では、言語の体系も随分異なりますが、時に同じような現象を見出すことができるのは驚きです。

動詞の能動態と中間態という現象とも関連しているように思えます。それについては、以前、書きましたので、興味のある方は、「英語における中間態的現象について」で検索してみてください。