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ラテン語・古典ギリシャ語単語の作り方 No.2

2020.05.03

ラテン語・古典ギリシャ語単語の作り方 No.2

 

 

 

 

イントロダクション(その2)

 

 

語形成について

 

 

今回は、まず馴染みのある英単語の分析を通して、これから使われる文法用語を整理することにいたしましょう。あまりにも細かい分類は避けます。

 

 

 

 

1 接頭辞

2 接尾辞

3 語根/語基/語幹/基本語

4 音韻変化

5 母音交替

 

 

 

 

1 接頭辞

 

 

たとえば、

import, export, transport と並べてみると、単語の後半部分portは一定しているのに対して、前半部分は変化しています。

 

 

この前半部分、im-(中に), ex-(外に), trans-(越えて)を接頭辞と呼びます。

 

 

 

 

 

 

2  接尾辞

 

 

さらに、import, export, transport, portable, porter という具合に「portグループ」に仲間を追加してみると、最後の2つの英単語には、-ableや-erの付加が見えます。

 

 

この後半部分、 -able(〜できる),

 -er (〜する人)を接尾辞と呼びます。

 

 

 

 

 

 

3 語根/語基/語幹/基本語

 

 

4つの用語を並べましたが、ひっくるめて語の元になる部分と考えてください。

 

 

import, export, transport, portable, porter というグループに見られる共通項であるportを「語根」と呼びます。このportという語根の意味は「運ぶ」という意味です。

 

 

ただしportという単独の動詞は特殊な用法を除いて、英単語に存在しません。

 

 

 

 

「語根、語基、語幹、基本語」の用語の違いに関して気になる方もいらっしゃると思いますので、今回は「語根」と「基本語」という言葉で何を分けようとしているのかを以下の例で見ていただきます。これは英語における考え方です。

 

 

次回からは特に区別せずに使用すると思いますので、あまり気にしないでください。

 

 

 

 

次の2つの英単語を比較してみましょう。

 

 

 

 

unavoidable と inevitable

 

 

 

 

unavoidableの作り方

 

1) avoid   避ける

 

2) avoidable 避けられる

 

3) unavoidable 不可避の

 

 

 

 

inevitableの作り方

 

1) *evit  避ける

 

2) evitable 避けられる

 

3) inevitable 不可避の(inも否定を表す接頭辞)

 

 

 

 

unavoidableとinevitableの語形成の過程は同じなのですが、素材が異なっています。

 

 

 

 

inevitableにおける出発点のevitは、英単語としては存在していません。フランス語ではeviter(避ける)、ラテン語ではevito(避ける)という単語がそれぞれ存在します。

 

 

 

 

「英単語」の語形成を分析する場合、このevitのように英語には存在しない要素を語根と呼ぶことになっています。

 

 

 

 

一方のunavoidableにおけるavoidは、英単語として立派に存在します。

 

 

 

 

この場合、avoidを語根と呼ぶのは問題がありそうなので、基本語という名称にしておくのが妥当だと思います。

 

 

 

 

 

 

 

4 音韻変化

 

importにおける接頭辞 im-は、もともとin-が変化したものです。このような変化を音韻変化と呼びます。

 

 

 

 

 

 

 

英単語の接頭辞ad-の音韻変化の例を見てみましょう。

 

 

 

 

admit   [ad + mit ]

 

accept [ad + cept ]

 

arrive

 

attract

 

affirm

 

allude

 

assist

 

ascribe *

 

 

 

 

admitという単語はad-が音韻変化を起こしていない純粋ものです。他の単語は続くスペルの影響を受けて ( 同化現象 ) いるのが見えると思います。

 

 

 

 

*ascribeは、ラテン語のascriboに由来していて、形成の過程は以下の通りです。

 

[ad scribo] →[as scribo]→ [ascribo]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5 母音交替

 

 

 

 

ラテン語・古典ギリシャ語などの印欧語全般にわたってみられる現象で、

 

同一の語根の内部において、母音が変化することを言います。

 

 

 

 

英語での例では、sing, sang, sung, songにおけるi, a, u, oの母音の変化のことと考えておけば良いと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◯最後に毎回、ギリシャ・ローマの有名な言葉を見てみましょう。

 

 

 

 

 

 

 

ギリシャ・ローマの名言について

 

 

 

 

毎回、次回に文法解説を行います。

 

ラテン語・古典ギリシャ語のどちらか一方を学習されている方は、他を切り捨てるもよし、少し覗いてみるもよし、自由にしてください。

 

 

 

 

※ギリシャ語は、ローマ字表記に変換します。

 

ギリシャ語を学習中の方は、ギリシャ文字に変換してください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◯問い

 

次の文を読み、各単語の品詞と時制、名詞の格変化のグループ分け、何格であるか、動詞の単数/複数、人称などを調べてみてください。

 

 

 

 

ある程度の分析の後に、自分流の日本語訳を作ってみると楽しいと思います。

 

 

 

 

実際にノートに書いてみると、記憶がよりしやすくなるかもしれません。さらに余裕があれば、その該当する名詞の全変化を書くなど、色々と工夫するとおもしろそうです。

 

 

 

 

1 carpe diem. (ラテン語)

 

 

 

 

 

 

 

2 panta rhei. (古典ギリシャ語)

 

  

 


ラテン語・古典ギリシャ語単語の作り方 No.1

2020.05.03

ラテン語・古典ギリシャ語単語の作り方 No.1

 

 

 

さて今回から、ラテン語と古典ギリシャ語の単語の語形成などを眺めていきましょう。

 

 

今回はイントロダクションです。

 

 

 

 

英語やフランス語の語源のお話なども混在すると思います。

 

 

ギリシャ語はローマ字に変換します。

 

 

 

単語についてのみのお話なので、おそらく、どのレベルの方にも合うと思います。

 

 

今回は、私たちがこれから探索する領域において鍵となる3つの英単語を確認しましょう。

 

 

1 etymology

2 morphology

3 vocabulary

 

 

1「語源学」のことを英語でetymologyといいます。この単語は由緒正しくギリシャ語に起源があります。

 

 

etymo + logy

 

 

etymo-は、ギリシャ語のetymos(本当の)という単語に由来します。

 

 

 

 

-logyは、ギリシャ語のlogos(言葉、理性)が源です。

 

 

「〜学」には、この-logyが使われているのはよく目にしますね。

 

 

 

 

2「単語の語形成についての論」をmorphologyといいます。

 

 

morphe + logy

 

 

morphe-はギリシャ語で「形」の意味です。

 

 

 

 

3「語彙」は、英語でvocabularyですね。この語は、ラテン語単語vocabulum(名称、名詞)に由来します。

 

 

この単語の前半部分のvoca-は、vocal(ボーカル)などに使われていますので馴染み深いですね。

 

 

nota bene

1の語源学 etymologyと2の語形成論 morphologyの違いについて少し考えてみます。

 

 

ごく簡単にまとめると、etymologyが「ある単語の起源を研究」するのに対し、

morphologyは「ある単語の形成過程を研究」すると、しておきたいと思います。

 

 

英語を基準に具体的に考えてみましょう。

 

 

まずは「語源学」

philosophyという単語は、ギリシャ語を起源とする2つの単語の合成によって成り立っています。

[phileo(愛する)+sopia知恵)]

 

 

ただし、この知識から、さらなる関連語を自分で形成していくのは難しいと思います。

 

 

次に「語形成論」

teachという動詞に接尾辞 er を付加するとteacherができあがります。

同様にplayからplayerのように語を形成することができます。

 

 

この知識から、ある動詞に -erを付加すると「人を表す語」ができそうであるのが感じ取れます。

 

 

つまり、etymologyは、ある語の根本を理解するのに有益であり、一方のmorphologyは、ある語の形成過程を感じ取り、単語を増幅させる生産的な知識と言えると思います。

 

 

  

 


英単語の作り方:特別編 No.7 「学校」の起源

2020.05.03

英単語の作り方:特別編 No.7 「学校」の起源

 

 

 

 

今回のパンデミックにより、世界中の国で学校の休校措置が取られている。そもそも「学校」とは何か?

 

 

「働く」とは?「生きる」とは何んぞやというところまで人々の思いはシフトしてくるであろう。グローバル化社会は一旦停止して、各国が引きこもり社会になるかもしれない。

 

 

休校中に世界中の人間が「学校」のことを考えています。「勉強だけならネットでよくね?」「勉強は、したい人だけがやればよい、俺は一日中寝てたい」「ずーっとゲームできるし、休校最高!」「やっぱ学校行きたーい!」

 

 

学校不要論まで上がってきている。本当に不要なのかどうかは各自が考えることにし、ここでは「学校」「スクール」の起源に迫ってみよう。

 

 

 

 

「学校」の起源

学校とか勉強とかいう言葉にはどこか強制的な匂いが漂い、直ちに嫌悪感を感じる人もいるであろう。この「学校」を表すschoolの語源はギリシャ語のscholeであり、意味は「暇」であった。

 

 

 

 

 

 

いわゆる勉強、学問は暇を持て余した人々が自由な時間を使って、集い、議論などを行っていたことに端を発すると云う。労働つまり仕事は奴隷が行う。

 

 

 

 

このことから、もし自分の意志ではなく学ぶことを強いられたら、逆説的にそれはもはや奴隷である、と主張する人もいそうではあるが、実際にはどうだったのだろう。

 

 

 

『西洋古典学事典』(松原國師著、京都大学学術出版会)によると、プラトンの学校アカデ―メイアでは、「笑うことは許されず、また魂の浄化のために小時間の睡眠や肉食の禁断が要求された」らしい。これなどは、どこかカルト宗教臭さえ漂う。

 

 

 

よく耳にする名称の「~アカデミー」は、もちろんこのプラトンの学園アカデ―メイアに源がある。前387年頃に設立されたこの学園の名称アカデ―メイアは、アッティカの伝説上の英雄アカデーモスに由来するらしい。

 

 

 

アカデ―メイアでは、先生と生徒は一つの生活共同体で結ばれ、授業料はなかったらしい。この学園からは、アリストテレスをはじめ、多数の逸材が輩出された。

 

 

 

アリストテレスは、前335年にアテーナイ郊外に学校を作る。その名はリュケイオン。こちらの名称は日本では、ほとんど知られていない。

 

 

 

 

しかしながら、フランス語を学ばれた方には、なじみ深いlycee(リセ)という言葉がある。ちょうど日本の高校に当たる。このリセの語源になるのがリュケイオンである。

 

 

 

ラテン語では「学校」のことをludusという。ludusを羅和辞典で引くと、「遊戯;競技;学校」などの意味が見られる。

 

 

 

 

この単語の動詞 ludoは「遊ぶ」の意味になる。やはり勉強に一番大切なのは遊び心であろう。ここまでの考察によると、ギリシャ・ローマに「学校」の源があるように思えるが、事態はそう単純ではない。

 

 

 

ギリシャ・ローマ文明の前には、メソポタミア文明がある。『歴史はスメールに始まる(N・クレマー)』(新潮社)によると、「スメールの学校制度が十分に発達し栄えたのは、紀元前三千年紀の後半である」そうである。

 

 

 

 

「スメール」という表記に一言。私が所有しているこの翻訳は、私が生まれる遥か昔の昭和34年に発行されたものである。現在では、ほぼ「シュメール」という表現に統一されている。従って、ここでも以後「シュメール」の表記を使う。

 

 

 

シュメールの学校は、役所や神殿、宮殿などで働く人、いわゆる「書記」を養成するための職業的な訓練所であったのであろう。

 

 

 

 

誰もが教育を受けられたわけではなく、富裕階級の子弟だけが学校に通った。また、学校は男性だけで成り立っていた。

 

 

 

 

神学、植物学、動物学、鉱物学、地理学、数学、文法などなど、様々な学問が発展していった。専門の教師も存在していたらしく、現在と変わらず安月給で苦労していたらしい。

 

 

 

 

一方で、教師は生徒を訓育のため鞭打った。生徒は毎日朝早くから太陽の沈むまで学校で学んだ。

 

 

 

メソポタミアで発掘された粘土板には、様々な内容のものがあるが、非常に人間的なものも少なくない。そこには教師と生徒の日常的なやりとりなども伺い知ることができるものもあるようである。

 

 

 

 

以下は、メソポタミアで発見された粘土板の資料に基づいた私の勝手な想像。たしかに会話の細かい箇所は想像ですが、内容は変えていません。

 

 

 

「君は、なぜ遅刻したのかね?」

「すいません、もう二度としません!」

「君は、先週もそう言っていたね!」

「先週は、母が起こしてくれなかったのです。」

「君は、自分の遅刻を人のせいにするのかね?お尻をだしなさい!鞭打ちです!」ビシッ!!

 

 

 

この生徒は先生の怒りを鎮めるために、家に帰ると父にこう言う。

「父さん、先生を家にお招きしたいのですが。」

「どうしたのだ?」

「いえ、尊敬する先生に敬意を示しておく必要はありませんか?」

「その通りだ。お招きしよう!」

 

 

 

父親は、先生に葡萄酒を飲ませ、おいしいものを食べさせる。衣服を与え、指輪を贈る。 つい先ほどまで怒り狂っていた先生は、少し機嫌が良くなるのである。

 

 

 

 

 「おたくの息子さんは、優秀ですね!努力家です!将来は立派な書記になるに違いありません!でも、遅刻はいけませんよ(笑)」

 

今から約5,000年前の日常である。

 

 

  

 


英単語の作り方:特別編 No.6

2020.04.22

英単語の作り方:特別編 No.6 コロナビールの悲劇

 

 

 

 

 

 

2020年の4月現在、私の大好きなコロナビールは生産中止にされてしまった。

 

 

 

 

ビール好きな人には有名なビールで、瓶の中にライムの切れ端を入れて飲むあの独特の飲み方、一度飲んだら病みつきになるあのテイスト、日本でも海外でもどこでも手に入るコロナビールよ、辛抱だ、今は我慢の時である。いや辛抱するのは私たちか?

 

 

 

 

どちらにせよ、言葉には罪なき実態に、今回のコロナビール生産中止のような、極めて甚大な被害を与える場合がある。「コロナ」=悪、このイメージの払拭は難しい。

 

 

 

 

「武漢風邪」という言葉を敢えて使いたいと思っている人が少なからずいるようです。そのような人はちょっとゆったり落ち着いて考えてみてください。最近は時間がありますし。

 

 

 

 

少しでも想像力のある人なら「武漢風邪」という名称が、その地域の人々に多大な被害を齎す危険な言葉になりうることが即座に理解できるのではないでしょうか。「武漢」=悪、このように、人間の脳というのは、様々なものを混線させてしまう危うい機能をもっています。

 

 

 

 

同時に「武漢風邪」という言葉は、何の罪もないこの地域の一人ひとりの心にナイフのように突き刺さるように思えませんか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、今回は言葉がもつイメージとそのインパクトについて考えてみよう。

 

 

 

 

 

 

 

音の印象

 

 

 

 

フロイトやゲーテの翻訳などをしているドイツ文学者の高橋義孝がエッセイの中で、「私は生きざまという言葉は好きではない」というようなことを書いていた。

 

 

 

 

「生きざま」という言葉には「ざまあみやがれ」の「ざま」が入っているのでマイナスイメージを生み、敬意を示す相手に「生きざま」はないだろう、というのである。子供の頃にこれを読んで、なるほどと思ったことがある。

 

 

 

 

言葉には、その本来の意味がどうであれ手垢にまみれた汚いイメージを身に纏ってしまったものがあり、意味の正しさだけでは解決できない場合がある。

 

 

 

 

コロナはラテン語で「冠」の意味であり、その意味のどこにも悪いところはないのである。しかながら私たちはコロナという響きにゾッとするのである。

 

 

 

 

コロナビールよ、お前は悪くないぞ!悪いのは私たちの頭なのだ。私たちの頭がマイナスイメージに汚染されてしまったのだ。そしてこの汚染除去には時間がかかる。

 

 

 

 

 

 

 

形の印象

 

 

 

 

フランスの言語学者の書いた本の中にlocomotive という単語をじっと見つめていると「汽車」に見えてくるだろ?というのがあったのだが、著者の名前も思い出せないし、その本は学生時代に読んだものでもう売ってしまったか、家のどこかに埋もれてしまって発見不可能になっているのか、またはそんな本はそもそも存在しておらず、一連の出来事はただの夢だったのか、まあとにかく、面白いのは、本当にlocomotive が汽車を横から見たイメージに見えてきたということである。

 

 

 

 

みなさんも紙と鉛筆を用意して書いてみてください。

 

 

 

locomotive の先頭の煙突 l  (エル) からは白い煙が出てきそうであり、車輪であるo とかc とかoとかoとかがゴトゴト音をたてて「列車」は左に進んでいく。

 

 

 

← locomotive

 

 

 

そんな風に英単語を眺めてみると、dogが「犬」に見えてきたのである。左に顔を向けており、お座りをしている。

 

 

 

dog

 

 

 

当然、catは「猫」に見えてくるのである。左向きで、尻尾をたてている。こっちに首をひねっているようにも見える。

 

 

 

cat

 

 

 

こんなイメージを持ったところで、なんの得にもならないが、言葉というものは、意味だけでできているものではないので、単語の視覚イメージや音の響きに注意してみるのも面白いかもしれない。

 

 

  

 


英単語の作り方:特別編 No.5

2020.04.20

英単語の作り方:特別編  No.5「あなたは誰ですか?」

 

 

 

 

 

 

Who are you?

 

 

 

 

『ソフィーの世界 哲学者からの不思議な手紙』という本があります。英語にも翻訳されていて、大学入試での出題の記憶もあります。その中に何の変哲もない言葉があります。

 

 

 

 

Who are you?

 

 

 

 

試験の点数を取って、受験に合格さえすればそれで全てが良かった時代はとっくの昔に終わっています。これから、そのことがもう少し浮き彫りになってくるでしょう。

 

 

 

 

私たちは知識を知恵に変え、それを実行に移していく能力が今は特に必要になってきています。「英語能力」、「日本語能力」、「世界の歴史と現在」を把握する力、そして数学を応用した「考える力」を鍛えていきましょう。

 

 

 

 

「ソフィーの世界」英語訳での一節のご紹介です。この本は、哲学の歴史も学べますし、英語も簡単です。挑戦してみましょう。でも400ページくらいはあったような。

 

‘Sophie’s world’ by Jostein Gaarder

 

 

 

 

ソフィーという少女にある日突然、差出人不明の1枚の手紙が送られてきます。そこには次のように書かれています。

 

 

 

 

Who are you?

 

She had no idea. She was Sophie Amundsen, of course,

 

but who was that? She had not really figured that out ーyet.

 

What if she had been given a different name? Anne

 

Kuntsen, for instance. Would she then have been

 

someone else?

 

 

 

私たちは今、2020年4月現在、私たち自身の本質を問われています。私たちは、また私たちの社会は、その名称が表しているはずの本質を持っているのでしょうか?

 

 

Who are you? 「あなたは誰ですか?」

 

 

いやしかし、小難しい哲学の話は私は苦手です。やはり軽くいきましょう。

 

 

 

 

動物園でいつもぐだぐだしているあの「ナマケモノ」という動物が、もし急にてきぱきと働き出したら、その名称は「ハタラキモノ」に変わるだろうか、というようなことをフランス文学者で作家の澁澤龍彦がどこかに書いていたのですが、どの本なのかはさっぱり思い出せない。

 

 

 

 

 

 

先日、「練り歯磨き」という言葉を耳にした。「歯磨き粉」という言葉に敵対心を燃やした人の発言であろう。「歯磨き粉って言うけど、お前、粉のやつ使ってるのか?」という声が聞こえてきそう。

 

 

 

 

私も使ったことがありませんが、随分前は、歯を磨くためには粉を使ったらしい。製品は進化し、今では粉のものは、ほぼ絶滅状態であり、というより見たことがない。

 

 

 

 

今はチューブに入った液体と個体の中間状態(ペースト状)のものになった。それでもなお、人々は「歯磨き粉」の愛称を使っているのである。

 

 

 

子供の頃、初めてカップラーメンの「焼きそば」に出会った時には目眩がしたのを覚えている。しばらくは頭が混乱したのである。

 

 

 

 

お湯を入れて3分待つだけ?一応フライパンは用意しておこうか?焼かないのに焼きそばって?どっちなんだ、焼くのか?焼かないのか?

 

 

 

 

しかしながら、まあまあ美味なその焼きそば味を堪能した後は、細かい悩みは忘れてしまった。今の悩みといえば「UFO」か「ペヤング」か「屋台の一平ちゃん」か、どれを買おうかということになる。

 

 

 

人の名前ではどうだろうか?

 

全く学んでくれない「学(まなぶ)」君に「なぜ学ばないのか、君は人を騙しているのかね?」と説教を垂れる嫌な先生がいるかもしれない。

 

 

 

Agatha Christie ( 語源分析による名前の意味は、「良きキリスト教徒」)が仏教徒になったらどうなるだろうか?

 

 

 

 

Amanda (名前の意味は「愛されるべき」)ちゃんが恋人に捨てられたら、何か間違っているような気がする。

 

 

 

 

「歯磨き粉」や、焼かない「焼きそば」や学んでくれない「学(まなぶ)」君 のような名称と実態の間にズレが生じている例は随分と身の回りにある。

 

 

 

因習に縛られている学校を覗いてみよう。緑色の板を指差し「黒板を見なさい!」と先生が言う。

 

一人の生徒が、筆の入っていない「筆箱」からシャーペンを取り出し、国語の試験に出るらしい言葉をノートに写す。例えば、

 

 

 

 

「早起きは三文の徳」。ふと彼は思う。「三文っていくらだ?」さらに、「隣の芝生は青い」。青い芝生とは何と珍しい!

 

授業が終わると下駄の入っていない「下駄箱」から靴を引っ張り出し家路に急ぐのであった。

 

 

 

 

すると悪友の一人が声をかけてくる。「おい、本物の縄で縄跳びしようぜ!」「嫌だね、縄跳びはビニールのやつに限るよ!」

 

「おい待て、信号まだ青になってないぞお!」

 

 

 

 

青って何色?

 

 

 

私たちは人や物や事象に名称を与え、それを理解したつもりになる。

 

 

 

 

一つ一つの英単語の日本語訳を英単語帳の表と裏で、ただ覚えて、いつの日か英語が読めるようになると思っている人が今だに存在する。残念ですが、なりません、なぜならそれは名称を記憶しているだけだからです。

 

 

 

 

別の視点に立つと、私たちは名称によって本質をくくりたがる。しかしながら、言葉自体がその本質を表すのは、ほんの3割ほどでしょう。

 

 

 

 

「氷山の一角」という言葉があります。海上に現れている氷の部分は全体の7分の1程度だそうです。私たちは現れた表面からその下にある本質を察しなけれならないのです。

 

 

 

 

子供が成長するにつれ、着ている服が小さくなってくるように、本質が名称の枠をはみ出して来る場合もあるように思えます。

 

 

 

 

 

 

次は、超難問です。禅問答みたいですね。

 

エラノス学会で、仏教学者の鈴木大拙はティースプーンを手に取ると、隣の人にこう話しかけたそうである。

 

鈴木大拙:これは何ですか?

 

となりの人:スプーンです。

 

鈴木大拙:違います。これはスプーンと言われているものです。

 

となりの人:… (きょとーん)

 

 

  

 


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