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「類別詞」について
「類別詞」について
日本語話者には全く意識にのぼることがなく、外国語として日本語を勉強中の人には厄介な文法システムの一つに「類別詞」がある。
「類別詞」はアジア系の言語とアメリカ先住民の言語に現れることが多い。
日本語では、「〜個、〜人、〜枚、〜匹、〜羽…..」などが類別詞であるけれど、おそらく私たちはほとんど考えずに適当に使っている。
他の外国語の学習で「類別詞」に接して初めて自分達の言語の特性を意識する。
ここではタイ語を例に挙げ、個別に類別詞の用法をほんの少し眺めてみよう。
※タイ語は、全てカタカナで表記。実際の発音は極めて難しい。このカタカナをただ読んでもタイ人には通じません。
◯タイ語の類別詞
1) お菓子を数えるときには、「アン」という類別詞が使われる。
日本語:お菓子5個
タイ語:カノム・ハー・アン
(カノム=お菓子、ハー=5)
2) 人を数えるときには、「コン」が使われる。
日本語:3人
タイ語:サン・コン
(サン=3)
3) 回数を示すときは、「クラン」。
日本語:2回
タイ語:ソン・クラン
4) 動物や服を表すときは、「トゥア」
日本語:犬4匹
タイ語:マー・スィー・トゥア
(マー=犬、スィー=4)
5) 本を表すときには、「レム」
日本語:本6冊
タイ語:ナンスー・ホック・レム
(ナンスー=本、ホック=6)
ここまでは、日本語の類別詞とほぼ用法が同じであるが、日本語とは異なる使い方がタイ語にはある。
1)の「アン」を使って眺めてみよう。
a) 既に確認した使い方は、ものを数えるときの用法。
日本語:お菓子5個
タイ語:カノム・ハー・アン
b) 「この〜」など、対象を特定する用法。
日本語:このお菓子
タイ語:カノム・アン・ニー
(ニー=この)
c) 形容詞が名詞を修飾する場合
日本語:大きいお菓子
タイ語:カノム・アン・ヤイ
(ヤイ=大きい)
日本語の類別詞を眺めてみよう。
ものを数える時は、「ひとつ、ふたつ、みっつ」などの「-つ」が筆頭に挙げられるであろう。その場合に単語の形成が行われる一つ一つの構成要素を意識してみると面白いかもしれない。
ひとつ=ひと・つ
ふたつ=ふた・つ
みっつ=みっ・つ
今度は、類別詞「-り」を使って人間を数えてみよう。数字が増えると類別詞が変化する謎が垣間見える。
ひとり=ひと・り
ふたり=ふた・り
みっり=みっ・り???
さんり=さん・り???
さんにん=さん・にん
よにん =よ・にん
文法は慣用に基づくのが原則であり、必ずしも数学のように割り切れないのが面白い。
よく使う日本語の類別詞
1 「-つ」ひとつ、ふたつ
2「-リ」ひとり、ふたり
3「-きょく(曲)」いっきょく
4「-さつ(冊)」いっさつ
5「-こ(個)」いっこ
6「-そく(足)」いっそく
7「-けん(軒)」いっけん
8「-ひき(匹)」いっぴき
9「-じょう(錠)」いちじょう
10「-めい(名)」いちめい
日本語の類別詞は、まだまだ沢山ある。普段は使わないようなものもある。
たとえば、神話などの論考を読むと神や女神を数えるために使われる類別詞は「-はしら(柱)」である。
古事記に目を向ければ、「イザナギとイザナミの二柱の神が〜」というような表現に出会う。
英語の「類別詞」的表現
英語では「類別詞」のことをclassifierという。英語の中の「類別詞」的な表現は大体、以下のようなものになるであろう。
a sheet of paper
a slice of bread
a cup of coffee
a glass of water
a bottle of milk
a piece of furniture
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